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2012.09.27 Thu
20120928_01.JPG

突然ですが、筆と墨で絵が描けるようになりました。


今までもずっと筆で絵を描いていたのですが、
これまでは「筆ペンとコピック」を使ったものでした。
今回描けるようになったのは、
全て本当の面相筆と墨、そして色墨(固形顔彩)を使った絵です。



筆ペンと本物の筆というのは、似ているようで書き味の特性が全く違いました。


筆ペンはあくまでも「ペン」なので軸に入っているインクを押し出してペンのように描く形ですが、本物の筆は、もちろんながら乾燥した筆先に墨を含ませて描くわけです。
そして、どれだけ筆に墨を含ませるかによっても全く書き味が変わってしまいます。
本物の筆のほうが、筆ペンの技術にプラスして、より繊細な操作技術を要求されたのです。
小学校の習字の授業の際に、書いた文字が滲んで線がとても太くなってしまったことや、逆に墨が少なすぎてかすれてしまった経験はおありでしょう。


そうして長らく本物の筆で絵を描くことから離れていたのですが、年初から書道の勉強に通っておりましたし筆と墨という、筆で絵を描くための最低限の材料は揃っていました。

それで、なんとなく描ける気がして、本物の筆と墨で絵を描いてみましたら・・・

描けてしまったのです。
むしろ今では、本物の筆の方がいろんな面で融通が利いて、使いやすいとさえ思えました。


それでも、決してこれがいつの間にか描けるようになったわけではありません。
ここまで来られたのは切に、筆ペンでこれだけの枚数の絵を、描かせていただいていたからだと思います。
色紙はもちろんですが、たくさんのスケブも私の力になりました。
フランスまで武者修行にも行きました。

そして、どこかでご覧になってくださっている方がいなければ、ここまで多くの絵は描けなかったでしょう。

こうしてこれまで絵を描くことを許された環境の幸運に、感謝するばかりです。



絵と言うのは料理のようなものかもしれない、と思いました。
ある料理の作り方について、「塩を振って、次にコショウを振って、焼いてから、パセリをかける」といったようなことを、
説明はすることは、できると思います。
しかしその通りに作ったからといって、同じ味にはなりません。

そして、美味しい料理を出す店には人が集まるのだと思います。
私のところは、ちょっと変わった味わいの品を出す店かもしれませんね。


以前、私の絵について
「これだけたくさんの絵が並んでいる中でも、一目見ただけですぐに燕山さんの絵だとわかるということは、とても幸せなことです」
というようなことを、おっしゃってくださった方がいらっしゃいました。

そのことを、
その時私は言われて初めて改めて気が付いたのですが、
それは本当に大事なことでしたね。
確かに私にしか描けない絵が今は描けているかなと、いつも自信のない私ながら思います。


今まで生きてきて、関係のなさそうな小さな経験一つ一つが私を今まさに形作り、活きてきています。
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